医療通訳とは
 
日本語の話せない外国人患者が適切な医療サービスを受けられるように病院や医師とのコミュニケーションをサポートする通訳のことです。
 

医療通訳の必要性
 
日本に在住の外国人の多くが日常会話では何となく理解できれば会話できますが、医療の場面では専門用語が多く、正確に理解しないといけません。病名・病状及び服薬の仕方、避けるべき食べ物などの医者の説明を正しく理解しないと、患者様の身体に大きな悪影響を与える可能性があります。そのため、専門性が高い医療通訳からのサービスの提供は求められます。
 

医療通訳者の役割
 
医療通訳者は、言葉を訳すだけではなく、文化・宗教・習慣等の違いを考慮し、医療従事者と外国人患者様とのやりとりを仲介しながら微調整していく役割も持ってます。
 

医療通訳者に必要なスキル
 
厚生労働省では、医療通訳に関する医療通訳育成カリキュラム基準・テキスト「医療通訳」・指導要項を作成しています。
知識
・ 母語と対象言語において医療・保健分野に関する基礎知識を有し、関連用語を理解できる 
・ 日本における医療制度に関する基礎知識を有している 
・ 患者の健康、医療、コミュニケーションに関わる文化的および社会的差異について知識と理解がある
②能力と技能 
・ 母語と対象言語において十分な運用能力を有している 
・ 通訳について十分な知識と技能(対話型の逐次通訳)を有している 
・ 異文化コミュニケーションについての知識と技能を持ち、状況に合わせた適切な対応をすることができる 
・ 医療通訳場面に必要な調整力を備えている 
・ 状況に応じた事前準備、情報収集をすることができる 
・ 通訳利用者の合意の下に必要に応じて適切な形での文化仲介を行うことができる 
・ 万全な体調で業務にあたれるよう、感染予防と体調、メンタル管理を行うことができる 
・ 自身の通訳を振り返り、常に能力の維持、向上を図ることができる
③倫理 
・ 役割を自覚し、業務規定、職業倫理に則った対応ができる 
・ 専門職としての意識と責任を持って行動することができる 
・ すべての人をかけがえのない存在として尊重し、敬意を持って接することができる
・ 話し手の意図を正確に理解し、忠実に訳すことができる 
・ すべての通訳利用者に対して中立、公平な態度を取ることができる 
・ 職務上知り得た情報等の秘密を保守し、プライバシーに配慮することができる 
 

「訪日外国人の診療価格算定方法マニュアル」に関すること
 
訪日外国人は近年著しく増加しています。政府としても、「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」において、訪日外国人旅行者を2030年に6000万人とする目標を掲げており、訪日外国人旅行者が安心・安全に日本の医療サービスを受けられる体制を充実させていくことが必要です。
こうした状況を背景に、平成30年度厚生労働行政推進調査事業費補助金による「外国人患者の受入環境整備に関する研究」において、医療機関が訪日外国人に自由診療の提供を行う際の個別の診療価格設定に資するよう「訪日外国人の診療価格算定方法マニュアル」が作成されました。